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2024年3月、小林製薬が「紅麹」の成分を含む健康サプリを自主回収する声明を発表しました。
小林製薬の機能性表示食品「紅麴コレステヘルプ」を使用した人から腎疾患が見つかり、これまでの入院患者は26人に膨らんでいます(3月26日時点)。
紅麴っていろんな原材料名表示でみかけますよね。今回は紅麹についてお話しします。
そもそも紅麹って何?
紅麹とは蒸した米に紅麹菌といわれるカビをつけて発酵させたものです。紅色をしているので紅麹。私たちがふだんよく見る米麹は米に黄麹菌をつけて発酵させたもの。同じ麹菌という名前でもカビの菌種が違います。日本では赤色を付ける色素として使われていることが多い。沖縄では「豆腐よう」といわれる紅麴や米麹で発酵させた長寿食があります。
紅麹は中国では2000年前から使われてきたといわれています。現存最古の草本書『神農本草経』に記されていたということは、薬や健康保持のために使われていたということですね。実際、血液の流れを良くし、内臓を温めるということが書かれているそうです。近年でもLDLコレステロールの抑制や血圧の低下を促す有効成分が入っているとして、サプリメントが注目されていました。
ただ、紅麹菌というものはとてもデリケートで扱いにくいそうです。紅麹を作る過程でシトリニンというカビ菌ができたり、培養中や生産過程で雑菌に侵されたりと大量生産は難しいイメージです。だからなのか紅麹を使った料理は台湾や中国の一部、沖縄での伝統食となっています。
紅麹が入っている食品
一般に流通する菓子、デザート類、パン類、冷凍食品、調味料、畜産・水産加工品、レトルト食品、麺類、弁当類、健康食品、流動食、介護食等。
いろんなものに使われているんだね
ここで勘違いしてはならないことは紅麹がすべて悪いのではないということ。原材料名に書かれてあるのはだいたいが色付けに使われるベニコウジ色素。ベニコウジ色素は食品添加物で食品衛生法で基準が定められたものであり、紅麹の製造方法とは全く別物であります。
小林製薬ではない他社が作った紅麹を使用したものや先述のベニコウジ色素を使用したものは問題が無いと考えます。小林製薬が製造した紅麹を使用した企業が52社ということなのでそこが知りたいということですよね。
我が家にあったカニカマやプロテインにも原材料名に紅麴記載がありましたよ。
危険性について
結果から言うと今回の小林製薬の騒動となる紅麹による健康被害の原因はまだわかっていません。(2024年3月26日時点)。腎臓の病気を発症した人が摂取した製品には同じロットの原料が使われていて、分析の結果、想定していない成分が含まれている可能性があることがわかったということです。前述のシトリニンは成分分析の結果入ってなかったということですが今後の分析結果をまちたいところです。
ただ気になるのは同様のことが以前、欧州でおきていること。EUでは2014年に紅麹由来のサプリメント中のカビ毒シトリニンの基準値を設定しています。スイスではサプリメントも食品も販売禁止、つまり売買は違法になっています。フランスでは医者に相談の上使用ということが決まりました。
紅麴由来のモナコリンKは、正常な血中LDLコレステロール濃度の維持に寄与することは科学的証明されているものの、モナコリンKを生成する紅麹菌の一部の菌株は、シトリニンも生成するということも事実です。
健康効果について
紅麹はGABA(ギャバ)やモナコリンを生成させます。
GABA(γーアミノ酪酸)とは名前のとおりアミノ酸の一種(たんぱく質を構成しない)であり通称「ギャバ」とよばれています。抗ストレス作用があり、脳機能改善効果や血圧を下げる働きがあるなどいろんな効果が報告されています。
モナコリンは血中LDLコレステロールを減少させてくれます。
まとめ
紅麹は中国古来からの発酵食品
血圧低下やLDLコレステロール数値改善に注目された
食品では赤色になる色素としてよく使用されている
ただし紅麴とベニコウジ色素は製法が異なる
紅麹はカビ毒シトリニンを産出こともある
麹とは古来から日本人が利用してきた発酵食品であり、菌とともに暮らす知恵が詰まった最高の食材だと考えます。紅麹の健康効果も中国での長年の歴史が物語っています。人間は長い歴史の中、カビやキノコをとり続けてきましたよね。しかしながら今回の小林製薬の健康被害があった時点でいろいろと不安になった方も多いでしょう。紅麹そのものが悪いのか(私はそうとは思いませんが)、他の悪さをするカビ菌が混入したのか摂取量やアレルギーの問題か…。いろいろな可能性が考えられるものの、小林製薬の紅麴を使用していないところも風評被害を受けてしまう可能性も出てきており早急な原因究明をのぞみます。